失ふこと
小さいころ、
テレビや工事現場や新聞をなんとなく見て、
悲しくなっていた。
切られてしまう木、
住処を追い出されてしまう多くの動物、
埋められてしまう大地、
溢れかえるごみ、
空気も汚れているように見えた。
減ってしまっている多くのいのちを想い、
涙を流していた。
かなしくて、かなしくて、
くやしくて、さみしくて、
なんて、いやな世界なんだ、
どうして大切にできないんだろう、
あんなにもきれいな森を、川を、海をどうしてこわしちゃうんだ。
どうして。そんなんしたら、死んでしまうやん。
ずっとそう思っていた。
今も、失われている自然。
壊されてしまう大切な場所。
堰き止められたままの川。
こんなにも愛しいものを、
奪われてしまう感覚。
自分のからだが引きちぎられる、
切り刻まれる、押しつぶされるような感覚。
22歳になりかけているわたしは、
嘆くだけ、悲しむだけ、怒るだけで終わってたまるか。
感情だけで語れることは少ない不思議な世の中。
それでも、わたしは、わたしのことばで。
それでも、わたしはわたしの感じるままに。