記憶ときもち
片鼻の折れた豚の出てくる夢をみた
それは、なんて切ない、
それは、なんて愉快な、物語だったろう。
それを思い出せない。
わたしは一瞬一瞬をきもちいっぱいに吸い込んで、食べてしまう。
喉元を通る頃には、
つぎの感情が湧きあがっている。
毎瞬が輝き、色あせる、
多くのものが壊れてしまった、
失ってしまった。
もとどおりになるものもあるけど、
そればかりではない。
いつだってそうだけど、
いろんな思い、感情が渦巻いてるのが
今生きている世界なんだ。
残酷なほどにいまそれを感じている。
でも生きているのよ。
苦しいけど。
立ち止まっていいよ、
時計は忙しそうに秒を刻むけど。
風はやさしく背中をなでてくれるよ。