このひとときが永遠に続けばいいのにって。
こんなことを小学生のころに思っていた。
毎年「6年生を送る会」があった。
学年ごとに出し物をする。
歌を歌ったり、合奏をしたり、劇をしたり。
最後に6年生の児童会(生徒会みたいなやつ)の子たちが、
5年生の子たちに鍵をわたす。
あいさつをしよう、とか、
すこやかに過ごそう、とか、
笑顔ですごそうとか。だったかな。(まあ。わすれた。)
*
その会にはクライマックスがあった。
*
全員がひとつになる。
ひとときがあった。
*
まず、
じゃんけんをしあって、
負けた人が勝った人の肩を持ってつながってゆく。
そのながれで、なかなかに大きな行列になる。
もちろん1年生から6年生まで混合で。
じゃんけんだから、
必ずしも大きい学年の子が、先頭になることもなく、
ちいさい学年の子の後ろに大きな子がついていくことだって、
もちろんある。
ほどよい、長さになると、
先生がある曲を流すのだ。
それは
「踊るポンポコリン」
ちびまるこちゃんのエンディングのテーマソングだった。(いまはちがう)
その曲にあわせて、
全員が跳ねるの。。
「右!右!左!左!、
前! 後ろ!
前! 前! 前!」
ひたすら、つづく。ホップステップジャンプ。
コトバだけじゃ、
なんだそれと思うけれど、
大人数で、
前のひとの肩を持ちながら、
後ろのひとに肩を持たれながら、跳ねるのは、
なかなかに、
ハードで、たのしいの。
*
あの瞬間の、
新町小学校の一体感が、
ほんとうにだいすきだった。
*
小さな学校で、
全学年が1組しかない学校だった。
いいことも、いやなことも、
6年間、ひきずられる。そんな小学校だった。
それでも、
その
おどるポンポコリンのリズムにあわせて、
学年関係なく、
いやなことを忘れて、
跳ね続けられた。
*
なんて単純なんだ?!って思う?
でも、それが当時のわたしの世界だったの。
*
先生たちは、どうみつめていたんだろう。
*
曲にあわせていると、
列がみだれて、
前のひとの肩が離れるときがある。
そうならないように、
必死で、つかむのだった。
*
今はもう、
ないのかもしれない。
、
でも
卒業する前、
ついに、送られる側になったのだというきもちであったわたしにとっては、
初めて、芽生えた気持ちだったの。
「このひとときが永遠に続けばいいのに」
*
いやなこともいっぱいあった、小学校をこんなにも愛おしく、
だいすきなともだちや先生のこと、もっともっとだいじに思えるひとときだった。
*
当時の先生は、
なにをねらいにやっていたのだろう。
当時のわたしたちは、
ただ、毎年ある行事のなかで、
なにを感じていたのだろう。
いっぱいきずついたし、
いっぱいきずつけたこともあったのだとおもう。
それでもどうして、
こんなにも、いま、あのころの思い出が、
大切に大切に感じられるのだろう。
*
明日も、思い出しては、わらえる。
「右!右!左!左!、
前! 後ろ!
前! 前! 前!」
そうやって、
あしたも進んでいくのだ。
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