傾いた三日月に向かって
歩く 一本道

星の粒が
空に広がっている

星があるから
夜空は漆黒のように思える

三日月の光が
海に黄金の道をつくる

その道は揺れて

風が手を振り
歩いてゆく


誰かの声が

聞こえる気がして


振り向いた

 


だれかに話をするとき


だれかだけではなく


星も

風も

海も

 

 

ずっと


わたしの話を聞いてくれていた

 


みんなが聞いてるから

 

「悪いこと言えないね」

 

そうやって

 


胸の中に


積もる


小さなガラス片が

 

誰かをきずつけて


自分もをきずつけて

 


そうなってしまうのなら

 


すべてを


話したら いいんだろう。

 

泣きながら

叫びながら

 

それでも


それでも

 


いいんだろうよ。

 

 

月も

虫も

波も

 


なにも言わずに

 

聞いている。

 

 

何かを言ってもらいたいのに

なにを言われるのかがこわいのだ。

 


馬鹿みたい。

 

空は

いつも


にげない。
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