さかなになったゆびわ

さかなになったゆびわ

 

 

 

パートナーの誕生日に

5匹のさかなが彫られたシルバーの指輪をあげた

 


さかなたちは

くちをあけて

ゆかいに 泳いでいる

玉の模様も掘られていて

 


見ると

 


思わずわらっちゃうような

 


そんな指輪だった

 

 

 

 


近所のアジアン雑貨屋さんでみつけたときに 

ひとめぼれして 買った

 


パートナーは

釣りがだいすきなので

大漁祈願と

安全を願って

お守りとして プレゼントした

 

 

 

パートナーもすごくよろこんでくれて

 


すぐに身につけてくれて

釣りのときも

指輪も一緒だった

 

 

 

 


立派な大きさの魚が釣れたとき

 

 

 

これのおかげ

 

 

 

ってうれしそうに

指輪を見せてくれた

 

 

 

 


✳︎

 

 

 

昨日

パートナーが帰ってくると

 


その指輪が

なくなった

 


せっかく 

みつけてくれたのに

ごめんね って 

 

 

 

 


言われた時は

ちょっと しょっくなきもちだったけど

 

 

 

滝のところで なくなったかもしれんって言うから

 


こんど わたしが一緒に行ったときに

 


みつけられたら おもしろいなと思って

 

 

 

こんど さがしてみよう って言った

 

 

 

 


なくなったってことは

 


彼の身代わりになってくれたのかもしれないし

 

 

 

 


✳︎

 


すると

 


すこししてから

 


彼が

 

 

 

あの指輪

 


さかなになったんかもしれんし

 

 

 

って 言い出した

 

 

 

 


なんだか とても

 


そのことばに きゅんとした

 

 

 

指輪のさかなたちが

 


川で うれしそうに およぎまわってるのを想像すると

 


わたしも うれしくなった

 

 

 

 

 

 

そうか

 


あの指輪は さかなだったんだ

 

 

 

 


✳︎

 

 

 

そんな おはなしがあってもいいよね

 

 

 

 

 

 

もともと あの指輪は

きれいな さかな だった

 

 

 

それを インドの魔法使いが

指輪にした

 


時を超えて

日本にその指輪が渡ってきて

 


わたしの目にとまって

 


パートナーが受け取った

 

 

 

 


パートナーの釣り場が

あまりにも きれいで

 


指輪のさかなたちは

泳ぎたくって たまらなくなって

 

 

 

川に 還ったんだ

 

 

 

 

 

 

✳︎

 


今も

 


あの川で

 


およいでるかな

 

 

 

 

 

 

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