花の爆弾

花の焼夷弾を書いた。

 

それはそれは、

手の動くままに。

 

焼夷弾が花だったら、

花が降るんだろうな、なんてあまっちょろいことを考える。

 

焼夷弾で火事になり、

焼け焦げ、建物の下敷きになって、

たくさんのひとが死んでしまった。

死んでしまったというより、殺された。

 

あつい、あついと、

やけて、くるしみながら息をひきとる。

 

そんなことがあった。のに。

 

私はその景色をしらない。

死んだひとをしらない。

こげたにおいをしらない。

家が、人が、焼ける温度をしらない。

目の前で知らないひとが死ぬという状況をしらない。

目の前で知らない人の家屋がぶっ潰れる状況をしらない。

 

その光景を、温度を、においを、音を、空気を知っているひとが、

いまは高齢者として弱い立場のように思われている。

 

たしかに、

自分で用をたすことが難しくなってしまっているかもしれない、

がんこで、耳が遠くなって話が通じないかもしれない、

家族の名前を忘れてしまっているかもしれない、

ずっとずっと眠り続けているかもしれない、

 

 

それでも、いま、生きている。

自分たちとおなじように。

 

どんなことを乗り越えて

いま、生きているのか。

 

 

あなたのおかげで、

わたしはうまれたよ。

 

ずっとずっと、

想像する、あなたの青春時代。

何色だったろう。

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